入浴の事

漸くギプスが届いたところで、100%車椅子生活から歩行器の生活に変わった。

当初の尿瓶を固辞し、車椅子でのトイレの移動も断然に楽になった。

尿瓶を使わず、トイレに立つにも、涙を流しながら激痛に耐えた。

しかしながら、お風呂とは言わずもシャワーを浴びたく、浴びたくとも、入浴中はギプスを外し、砕けた腰が不安定極まりないので独りでの入浴を許されなかった。

数日は、蒸しタオルをもらい、やり過ごしたが。

真冬といえど、病室は半袖で過ごせるほどの気温である。

汗もかく。

何せ、スッキリしない。

身体の自由が利かなくとも、思考は止まらず。

自分が臭わないかも気になった。

個室ゆえ、迷惑は掛からずとも思ったが、医師も来るし、看護師も来る、見舞い客も。

そうして、入浴の付き添いを頼んだ、男性の看護師を。

女性に頼むは恥ずかしい。

かといって、男性がいい、とも思われたくなく。

それに、女性に見られて反応を起こし、それをまた見られる可能性を考えると、考え過ぎだとも思ったが、どうしても腰が引けた。